予測される被験者への影響

MRI装置について

使用するMRI装置は、病院に設置され通常の医療診断に用いられるMRI装置と全く同じものです。
体の内部の構造を知る方法としては、X 線(レントゲン)写真やX 線CT 等がありますが、
MRI装置はこれらの装置と異なり、放射線を一切使用していません。
そのため、いわゆる「被曝」の問題はありません。

MRI装置が身体に影響を与える可能性がある要素と安全性

MRI装置は強力な磁石の中で電波を使って体の中の水素の分布を測定することにより、組織の形や働きを測定する装置です。
この装置を用いた実験において、身体に影響を与える可能性がある要素として以下が考えられます。

  • 静磁場強度

    磁石の強さは3Tや7T(地磁気の数万倍)です。
    MRI装置の安全性を確保するために決められている基準(日本工業規格「磁気共鳴画像診断装置―安全JISZ4951:2012」)では、
    ●通常操作モード(生理学的ストレスを引き起こす可能性がないモード)
    ●第一水準管理操作モード(生理学的ストレスを起こす可能性があるモード)
    ●第二水準管理操作モード(危険性を伴う可能性のあるモード)
    が設定されています。
    3Tの静磁場強度は、通常操作モードに相当します。
    MRI装置の磁石は大変強力ですので、金属の扱いには注意が必要です。特に手術など体内に金属を入れてある場合は被験者になることはできません。 しかし、健常者がこの磁場強度の中に入ることによって、異常を起こしたという報告はこれまでありません。

  • 磁場変化率

    MRIの実験では磁場を高速に変化させて体内の水素の分布を観測します。その変化速度があまり高速になると、生理的なストレス(例えば、鼓動が速くなるなど)を起こす可能性があると言われています。
    MRI装置の安全性を確保するために決められている基準(例えば国際電子工業会(IEC)等による)では、
    ●通常操作モード(安全性が確保できるモード)
    ●第一水準管理操作モード(ストレスを起こす可能性があるモード)
    ●第二水準管理操作モード(危険性を伴う可能性のあるモード)
    が設定されています。
    実験で使用するのは安全性が確保できるとされる、「通常操作モード」です。
    「第一水準管理操作モード(ストレスを起こす可能性があるモード)」で実施する場合があれば、初回医師立ち合いの下で実施。
    しかも、これまで延べ20,000名以上(2023年6月現在)の被験者に、今回用いる装置で同様の実験をしてきましたが、体に異常が生じて実験ができなかったり、中止したというケースはありません。

  • 比吸収率

    今回の実験条件は通常操作モードであり、体温の上昇等の影響はほとんどないと考えられます。

  • 騒音

    実験時、磁場の変化に伴って、MRI装置全体が振動することにより、ガンガンという騒音を発生します。これはかなり大きい音ですが、耳栓あるいは密閉型のヘッドホンを装着していただくことで軽減します。

  • その他

    MRI装置の操作は、専門的知識を持った技術者が行ないます。安全確保のために細心の注意を払って実験を行ないます。指示に従って実験を行なえば危険はありません。

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